赤ヘル1975 重松清
広島東洋カープが古葉監督のもと初優勝した時、私は小学生でした。両親がカープファンだったので、洗脳されるように私もカープファン。樽募金で球団消滅危機を回避した話、グラウンドと外野の境がロープだったため、カープの選手が外野フライを打つとおっさん達はロープを持って前進するものだからホームラン!相手選手の場合はロープを持って後退するから外野フライ。すぐグラウンドに乱入するおっさん達。そんな数々の逸話を聞き育てられた私は、広島カープはおっさん達のものであると今でも思っています。(笑)”おっさんカープ”が支え育ててきた球団、それが広島東洋カープです。
そんな逸話がどこまで本当なのか?と子供ながらに思いつつ笑っていましたが、ここにもありました。やはり、あれは本当だったのですね。この本は、小説というよりドキュメンタリーのように思います。
1975年の初優勝の軌跡を追いながら、原爆投下された広島市民の思い、原爆症で苦しむ人々、当時の惨状を後世に伝えていかなければと思うものの、振り返ることができない精神状態へのもどかしさなども描かれています。広島東洋カープという球団は、75年は草も生えないといわれた広島復興の支えであり、希望であり、祈りであるということがこの本を通じて知ることができました。
広島と長崎はどっちが有名?
何で広島の方が有名?
最初に投下されるのと2番目にされるのとなんでこんなに差があるの?
広島育ちのヤスと転校生のよそものマナブの会話です。
何故、長崎に原爆が落とされたのかは、当初福岡の予定が悪天候のため長崎になったのだそうです。人間の運命って紙一重ですね。沢山の犠牲の上に今の平和があるということを忘れずに生きようと思います。そして、相変わらずの毎日がありがたく貴重な日々であることも忘れないようにしなくては。
今年読んだ本の中で間違いなく№1です。